《「性といのち」の大切さ 》性欲とセックスレス

性欲とセックスレス

マナ助産院院長 永原郁子

男性の性欲については、いろいろと知られていますが、女性の性欲は、人に尋ねることもできないので、どういったものとして考えられているのか教えてください。女性にも性欲があってよいのでしょうか。聖書の教えのように、婚前交渉はよくないと思います。ただ、性欲をどう考えればいいかも知りたいんです。結婚後にセックスレスに悩んでいる人の話も聞いたことがあり、いろいろと不安になります。それはなにが原因なのでしょうか。よろしくお願いします。(匿名希望)

「性」は神がお創りになったもの

そもそも「性」は神が人類に与えてくださったもので、創世記1章27節に「神は人をご自身のかたちとして創造された。……男と女とに彼らを創造された」と書かれています。また、それに続く28節には「神は彼らを祝福された。「生めよ。増えよ。地を満たせ。地を従えよ。海の魚、空の鳥、地をはうすべての生き物を支配せよ」と言われ、神は子孫を繁栄させる「性」を祝福しておられます。もちろん、「性」は新しいいのちの誕生のためだけでなく、神が与えてくださった夫婦の最高のコミュニケーションの方法ですし、喜びです。ですから、性に対する欲求は男女ともにあって当然です。

「性」に対する男女の違い

ただ性に対する違いが男女にはあります。男女の違いの前に、性に対する欲求度は個人差が大きいので、男性の性に対する傾向、女性の性に対する傾向という表現の方が正しいかもしれません。

たとえば、男性の多くは視覚、臭覚から性的刺激を受けやすいのに対して、女性の多くは聴覚、触覚から刺激を受けやすいです。また、男性の多くは腕を組んだり、ハグをすると、それ以上の接触を求めたくなるのに対して、女性の多くは好きな人と腕を組んだり、ハグをしたいと思っても、それ以上の接触は状況が整わないと難しいです。男性は愛がなくてもセックスだけに興味を持つ傾向があるのに対して、女性は心が伴なわないセックスは考えにくいです。また男性がセックスに対して衝動性が強いのに対して、女性はゆっくりと時間をかけて気持ちが高まってきます。性反応そのものも、男性は急激に快感が高まり、射精により瞬時に元に戻りますが、女性は気持ちの高まりもゆっくりですが、オーガズム期(絶頂期)も長く、元に戻るまでに余韻が続きます。オーガズムそのものも、男性は射精とともに必ずオーガズム反射がありますが、女性は、必ずしもセックスによってオーガズム反射があるとは限りません。

女性の性欲について

男性の性行動や性反応に比べて、女性の性行動や性反応は複雑な上、年齢や体験度によって個人差が大きいです。たとえば、好きな人と会話をしたい、肌と肌を接触させたい、もっと敏感な部分で接触したい、またオーガズムを感じたいなど女性の性欲の要求度はさまざまです。どのような形であっても、自分の性的な欲求によって、他の人にいやな思いをさせたり、迷惑をかけたりしなければ、また清潔が保たれ、プライバシーが守られるのであれば、自分自身の方法で性的な欲求を満たすことは悪いことではありません。これらのことは男女ともに基本的なことです。

婚外交渉

昨今は、夫婦以外の相手に性的な欲求を求める、「婚外交渉」への抵抗感が一般の人々の間でも非常に低くなってきていると言わざるを得ない現状があります。結婚前の妊娠や不倫などが、周りの人々にどれほどの悲しみや迷惑を与えているでしょうか。聖書のⅠテサロニケ4章3~7節には「みだらな行いを避け、おのおの汚れのない心と尊敬の念を持って妻と生活するように学ばねばならず、 神を知らない異邦人のように情欲におぼれてはならない」(新共同訳)と書かれていますし、Ⅰコリント7章2節には「みだらな行いを避けるために、男はめいめい自分の妻を持ち、 また、女はめいめい自分の夫を持ちなさい」(新共同訳)と、夫婦以外のセックスを戒めています。聖書の戒めは、私たちが幸せに生きるための教えと言えますが、性に関しても聖書の教えに固く立つことが、自分自身の人生を幸せに築いて行く最良の方法だと思います。性欲はコントロールが難しいだけに、なおさら、罪意識を持つ必要があると思います。

「性」は本来すばらしいものです。夫婦の間でより深く心を通わせる手段でもあります。年齢と共に表現も変わって来ると思いますが、それぞれのご夫婦にあったセックスを積み重ねて行く努力をされることをお勧めします。どうぞセックスレス夫婦になりませんように。(月刊「いのちのことば」2013年1月号掲載)

1993年神戸市北区ひよどり台にてマナ助産院を開業。
自然出産や子育て支援を通して地域母子保健に携わる。
2000年に性教育グループ「いのち語り隊」を立ち上げ、幼稚園、小中高校、保護者や教職員に向けて講演を行う。
「性を語ることは、生きることを語ること」という信念のもと、「いのちと性」の大切さを年間約120か所で語る。
その活動は注目を集め、TBSテレビ「情熱大陸」やサンTV「ライフライン」でも取り上げられた。「ティーンズのための命のことがわかる本」など執筆活動にも精力的に取り組む。
また、育てられないと悩む女性が24時間訪れることが出来る場所の設置を目指している。
神戸大学大学院保健学研究科臨地教授、神戸市立看護大学臨床教授など助産師の育成にも尽力する。

 

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