《Christmasメッセージ》光は闇の中に輝いている 遠藤勝信

  • 2018/11/30
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《Christmasメッセージ》光は闇の中に輝いている

寒さ、不安、恐れの中 心躍らせる息子の姿

東京女子大学教授 聖書 新改訳2017翻訳編集担当理事 遠藤勝信

クリスマスを翌日に控えたある冬の日、妻と私は当時3歳になる息子を連れてボストン市街に買い物に出かけました。その日はとても寒く、気温はマイナス20度まで下がっていました。天気予報では夜から大雪になるとの報道で、私たちは出来るだけ早く買い物を済ませて家路に着く予定でした。

ところがボストンの街中、交差点に差し掛かったところで車のエンジンが止まってしまいました。突然に動かなくなったポンコツ車目がけて、容赦なく、横から後ろからクラクションが鳴らされました。慌てて近くのガソリンスタンドに飛び込み、数名の店員にチップを握らせてどうにか路肩に車を移動させました。公衆電話から呼んだ牽引トラックが到着する頃にはすでに夕方となり、予報通り雪もちらつきはじめました。巨大なレッカー車に引かれ、連れて行かれた先は人里離れた怪しげなガレージでした。寒い待合室に何時間も待たされたあげく、いかつい修理工がやってきて、「修理にだいぶ金がかかる」と脅されました。そこは辺鄙なところで、電車もバスも通っていませんでした。20年も前のことですから携帯電話などありません。雪はますます本降りとなり、冬の寒さが身に染みました。

深く肩を落とし、不安と恐れで心をいっぱいにしたときでした。ふと、どこかにとても暖かな光のようなものを感じました。その光の出所をたどって行くと、息子の光り輝く笑顔に行き着きました。なぜ彼がそんなに輝いていたのかと言うと、絵本で見てきた憧れのレッカー車が突然目の前に表れ、しかもその助手席に座る特権にあずかったからでした。そして、どうもこれからイエローキャブにも乗り、電車とバスを乗り継いで行くようなのです。突然に開かれた夢のような未来にひとり心躍らせていたのです。

私と妻は希望に満ちあふれた息子の輝きに救われました。寒さと、恐れと、不安とで、凍死寸前であった私たちの心は少年の笑顔に温められ、溶かされて行ったのです。

「いろいろ考えると不安もあるけれど、今夜ばかりはこの子の希望の光に委ねることにしよう」

妻もその提案に大きくうなづきました。いったんそう決心すると、先ほどまでの不安はうそのようにかき消され、むしろ何だか幸せな気持ちにもなりました。冷静さも取り戻し、ひとつひとつの問題と課題を解決して行くことができました。

誰かが〈希望の光〉に

2017年の歩みを終え、新しい年を迎えようとしているこの時、残念ながら私たちの目に耳に飛び込んでくることは、おおかた残念なニュースばかりです。

世界情勢は混沌とし、各国のリーダーたちはいたずらに緊張をあおっているかのようです。政治不信はますます募ります。〈ポスト真実〉という新語が人類の諦めと嘆息のうちに既成事実とならないことを祈ります。そのような意味で、この世はその暗さを増し、寒くなるばかりです。

しかし、そこで、皆が暗い思いに沈んでいたのでは良い道筋を見い出して行くことはできません。誰かが暗闇の中に〈希望の光〉をしっかりと見つめ、そこに〈在り続ける〉ことの意義深さを覚えます。

神様はクリスマスの夜にイエス・キリストを通して〈希望の光〉を輝かせてくださいました。この時、もう一度、それがどれほど尊く、動かぬ希望であるのかを聖書のみことばに確認したいと思います。

「光は闇の中に輝いている」(ヨハネ1・5、聖書 新改訳2017)と聖書は語ります。暗闇は光を覆い尽くすことなどできず、神様が渾身のわざとして生み出された希望の光は決して失望に終わることがありません。その事実を携えて、私たちひとりひとりが暗き世にあって〈希望の光〉となり、周りを温め、また励ます存在となって行きたいと願います。

メリークリスマス!

クリスチャン新聞2017年12月24・31日合併号巻頭メッセージから。

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