《今さら聞けない》新約聖書 徹底解説

  • 2018/8/12
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新約聖書 徹底解説

新約聖書とは?

キリスト教の正典である聖書の第2部.27の文書より成る.分量は第1部である旧約聖書のほぼ3分の1.紀元50年から100年の間に書かれたキリスト教文書のうち,信仰と生活の誤りのない規範として権威あるものとされた文書が1つにまとめられて新約聖書を形成している.

新約聖書の言語

前5―4世紀に哲学・文学等の世界で広く用いられていた古典ギリシヤ語は,次の時代にはコイネー・ギリシヤ語へと形を変えていった.そこには簡略化,単純化の原理が働いていたが,最大の特質はコイネー・ギリシヤ語の持つ国際性にあった.コイネーとは「共通の」あるいは「広く用いられる」という意味であり,事実,アレクサンドロス大帝の版図,すなわち現在の南フランスからインドの境までの広大な地域に通用していた.前300年から紀元300年までの期間,貿易を初めとする庶民の生活全般に密着した世界共通語として大きな役割を果たしたと言える.新約聖書がこのような言語で書かれたという事実は,福音が民衆の福音であることを裏書きすると共に,福音の世界性,普遍性をそのまま映し出している.

原本と写本.新約聖書の著者が書いた原本はすでに失われており,私たちの手にあるのは時代を経て筆写された写本である.写本の数は断片をも含めて約4500にのぼる.パピルスあるいは羊皮紙に書かれたものがほとんどであるが,現存する最古の写本で新約聖書の全体にわたるものは,4世紀のものである.これらの写本の比較対照の作業の結果,新約聖書の本文(テキスト)はかなり復元されており,その度合は他の古典文書の場合をはるかに越えている.ラテン語,シリヤ語,コプト語等による古代訳も本文復元に大いに貢献してきた.

構成

新約聖書の初めに置かれている4つの福音書は,イエス・キリストの生涯のアウトラインに従いながら,救い主としての教えと行いを,十字架上の死と復活とを中軸として描き出している.それに続く「使徒の働き/使徒言行録」は,復活のキリストが使徒たちを通してなされた伝道と教会形成のわざを記す歴史である.続く21の手紙(このうち13はパウロのもの)は,手紙という文書様式をとって福音の事実の解釈を示すものであり,キリスト教教理の基礎を提示すると共にキリスト者生活の指針を与えている.最後に置かれている「ヨハネの黙示録」は,イエス・キリストにおいて到来した神の国の全き完成を,勝利と栄光を軸に描ききっている.このように,文学様式は多岐にわたるが,新約聖書記者がこぞって描き出しているのは,神の子であり救い主であるイエスそのお方であり,新約聖書はイエス・キリストについての情報,史料を提供する文献というよりは,このイエスを唯一の救い主として示す,神の恵みのことばであるというのが正しい.この意味で,新約聖書は権威ある正典である.

中心的使信

新約聖書は,神がイエス・キリストにおいて実現された救いをその中心主題としている.その救いは「罪の赦しによる救い」であり,新約聖書は全体として,神と罪人との仲保者である「イエス・キリストのあかし」を成している.新約聖書の著者は,一人の例外もなく,「神の恵みの福音をあかしする」役割を果たしている.彼らはイエスをキリスト・神の子と信じる信仰の視点から書いたのであり,その意味で新約聖書は一般的な古典ではなく,教会の信仰の宣言,告白の書である.神の救済についての信仰と理解は,旧約聖書においてすでに啓示されている神の救済の計画とその展開に基づいている.アウグスティヌスが「新しい契約は,旧い契約のうちに隠されており,旧い契約は,新しい契約によって明らかにされる」と言ったように,神の子イエス・キリストの受肉,公生涯,十字架上の贖罪死,復活の事実に照らして見た時,それまで持っていた聖書すなわち旧約聖書は,キリスト者にとって新しい意味を持つ書となった.新約の光のもとで,旧約はいっそう光り輝くものとなり,律法と預言の真の意味は,福音によってより正確に,またより深く理解されることとなった.旧約聖書がキリストを証言するものであることは,「その聖書が,わたしについて証言しているのです」とのイエス自身の言明によって裏づけられる.ペテロ,パウロらの宣教においても,イエス・キリストの事実を旧約の預言また予型の成就としてとらえる基本姿勢が著しい.キリストの人格とみわざが全旧約聖書の成就であることは,復活のキリストが「聖書全体の中で,ご自分について書いてある事がらを彼らに説き明かされた」とのエマオ途上の顕現記事において明白である.十字架の死により贖罪のわざを完成されたイエスの復活と昇天は,「イエスは主である」との原始キリスト教会の信仰の基盤を形成している.その信仰は聖霊の働きによって引き起こされる.新約聖書はこのキリストを救い主として示している.(石丸 新)

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