《特集》岩手キリスト教の旅② 知的障がいの人々と共に生きるカナンの園

  • 2018/6/15
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障がいをもつ人々が地域の中で住民として生きられる場所

人口3,000人の町に、500人の障がい者

奥中山学園

岩手県二戸郡一戸町は、戦後に組織された開拓団五百数十戸が入植した高原地帯である。団長、副団長、事務局長の3人がいずれもクリスチャンだったことから、「この地を乳と蜜の流れる約束の地に」との祈りをもって開拓が始められたという。 酪農や高原野菜を中心とした農業地域が、現在は地域人口約3,000人の中に、障がいをもつ人々500名近くが暮らしたり活動したりする「福祉の町」となっている。それには、1972年に創立された「カナンの園」の存在抜きには語れない。

福祉が一人ひとりに行き届かずにいた時代に、知的障がいをもつ人々と共に生きることを願った若きクリスチャンたちが中心となり、障害児入所施設「奥中山学園」を開設したことから、カナンの園の歴史は始まる。以降、一人ひとりの成長に応じた場を用意し、特別支援学校「三愛学舎」、成人の入所施設「小さき群の里」などを開設してきた。創立当時から、「一人ひとりを大切にするためには小さな集団で」という考え方をもち、グループホームを地域の中に点在させることなどを続け、2009年には成人施設を閉鎖しすべての人たちに「地域で暮らすこと」を実現している。他法人も含めると、現在、奥中山地区には30近いグループホームがある。暮らしとともに、一人ひとりの自己実現の大きな柱となる「働き」の場づくりにも力を入れ、 毎日千斤以上の食パンを作る「カナン牧場」や、「みことばせんべい」を作るシャローム、羊毛加工品が人気の「アドナイ・エレ」など、作業種も働き方も多岐にわたるものが用意されている。

「アドナイ・エレ」の 羊毛加工製品

44年の歴史が、障がいをもつ人々が地域の中で住民として当たり前に生きることを可能とした。それはまさしく、カナンの園の理念「一人ひとりが神に造られた大切な存在であり、互いに尊重しつつ助け合って生きていく社会の実現」、すなわち先達が祈り願った「約束の地」の実現であるように思うのだ。

(取材:藤野多恵)

「百万人の福音」2017年3月号より>

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