世と教会に生きる姿勢を正す遺産 『聞き書き 加藤常昭 説教・伝道・戦後をめぐって』

  • 2018/10/6
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世と教会に生きる姿勢を正す遺産

聞き書き 加藤常昭 説教・伝道・戦後をめぐって

若手・中堅の6人が熱く問いかけ、加藤常昭師から宝のような言葉を受け取りました。

「説教と神学」「教会と伝道」「戦後の文化と社会」についての45の質問と、実に豊かな応答の言葉です。戦後の教会の歴史を想起させ、世と教会に生きる姿勢を正し、受け継ぐべき遺産を手渡してくれます。対談の場に自分も同席する思いで読み切りました。

例えば「これからの日本の伝道罪と救い」では、こう問いかけます。「この頃、伝道という時、二千何年問題とか、教会がいくつ閉鎖するとか、教会の財政がどうなるとか議論されて、だから伝道しようと聞こえてきますが」。 それに対して「それはもうはっきり、伝道の邪道だ、と私は思います」「この人が洗礼を受けるか受けないかが問題になっているんだというときには、伝道者はしゃかりきになるんですよ」とズバリ答えられます。

では「人間として生きるためには、洗礼を受けなければ駄目だと言うことですね」と問い返すと、「駄目なんです」と答えられて、その理由が実に深く語られます。根っこにある罪の問題、生きることに対する絶望、今道友信先生の自殺願望、森有正先生の生涯の問題(罪と死)、絶望が肉体化した『カラマーゾフの兄弟』の父親、妻を失った絶望感から自殺された医師、そして、奥様を亡くされた加藤先生自身の絶望的な思い。結びは、「慰めようがない悲しみの中にいて、自分がもう死にたいと思ったときに、ああ、主イエスに救っていただいているというのは、こういうありがたいことなのか、と考えます。これは本当の体験であり、経験ですね」と語られます。

加藤常明師は昭和17年13歳で主イエスと出会い、戦争中に洗礼を受けられた。この体験がすべての人の「経験」になるために89年の日々を歩まれている。神を父と呼べる救いの喜びを伝えたい。その情熱があふれている本書は、生き生きとした信仰の遺産であり、読む人に霊の息吹を吹き込みます。 (評・郷家一二三=日本ホーリネス教団坂戸キリスト教会牧師)

聞き書き 加藤常昭 説教・伝道・戦後をめぐって
平野克己:編 井ノ川勝/平野克己/朝岡勝/森島豊聞き手 教文館
3,240円(税込) 四六判


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