巣鴨聖泉キリスト教会を訪ねて

  • 2017/12/29
  • 巣鴨聖泉キリスト教会を訪ねて はコメントを受け付けていません。

 

巣鴨聖泉キリスト教会を訪ねて

 

(巣鴨商店街)

東京都豊島区巣鴨は、山手線の巣鴨駅付近から北西へと広がる風情ある下町である。特に、旧中山道に沿って発展した巣鴨地蔵通り商店街は、通称「おばあちゃんの原宿」と呼ばれる名所だ。名物の塩大福に行列をつくったり、ファーストフード店でくつろいだりするおばあちゃんたちの姿が多く見られ、温かさを感じる地域である。

(木工房 活水)

商店街から巣鴨駅を挟んだ反対側に、大和郷と呼ばれる一帯がある。かつて、三菱財閥の創業者である岩崎家が購入、整備・分譲した地域で、今日も伝統ある閑静な住宅街として知られている。その一角に建つ巣鴨聖泉キリスト教会は、コンクリート打ちっ放しの会堂に木造のレトロな工房が隣接し、前庭に花と緑があふれる。散歩中にふと迷い込んだカフェのようだ。 「空間としては、軽井沢の雰囲気を目指しています。思わず入り込んでしまうような、雰囲気のあるたたずまいが理想です」と話すのは、小嶋崇さん。両親の彬夫さん、寛子さん夫妻が一九六五年に開拓した教会を引き継ぎ、二〇〇五年から主任牧師を務めている。

(木材に鉋(かんな)をかける小嶋崇牧師)

現会堂は二〇〇一年の献堂で、設計士のコンセプトがうかがい知れる、統一感のある造りだ。付近の多くの住宅が高い塀で敷地を囲うようにしているのに対し、公共スペースを意識して開放的にし、入り口から玄関までのアプローチを長くとった。「訪れた人が、礼拝へと気持ちを切り替えることができるよう意識しました」と小嶋さん。日常から非日常への転換。地域の景観にしっくりなじみ、かつ、来る者を優しく、静かに歓迎するこだわりの会堂だ。
礼拝堂は、五・六メートルもの高さのある吹き抜けを備えた開放感あふれるスペース。壁はコンクリートにもかかわらず、開口部を縁取る古材や木製の椅子、温かみのある床材や扉などが不思議な調和をつくりだしている。調度品のうち、講壇や聖餐卓、壁際の照明、本棚などは、ほとんど小嶋さんの作。神学生時代、アメリカ留学中に身の回りの必要に迫られて自己流で木工を始め、経験は二十五、六年になるという。


小嶋さんの木工は、地域との関わりにも一役買っている。二〇一六年からは、会堂に隣接する木工房「活水」を週に一度開放し、地域の人が自由にお茶を飲んだり、常設の図書を手に取ったりできるティールームにしている。仕事の昼休みを利用して訪れたり、ふらりと入ってきて人生の悩みを話す人もいるという。


地域に開かれた教会であることを、小嶋さんは常に試行錯誤する。「特に西洋の教会は、地域共同体の中心的な役割を長く果たしてきました。それが、今の教会は地域に埋もれてしまっています」。留学時代、教会のパンフレットづくりについて考えたことがあった。教会だけを紹介するのではなく、地域を俯瞰するイラストマップに教会を配置して、地域全体とともに紹介するというアイデアだ。手にした人に、「地域の中にある教会」を印象づけることができる。「巣鴨でパンフレットを作るならグルメ情報をピックアップしたい」と、小嶋さんは笑顔で話す。
町歩きスポットとしてにぎわう巣鴨。思わず興味を引かれる同教会のたたずまいは、地域の他の観光名所にも決して引けをとらない。(藤野多恵)

出典 月刊「百万人の福音」2017年1月号 より

関連記事

コメントは利用できません。

アーカイブ

プレスリリース

登録されているプレスリリースはございません。

お知らせ

登録されているお知らせはございません。

ページ上部へ戻る