人間の罪は自分では直せない 礼拝を守り続けて100歳を迎えた 乙部キミさん

  • 2018/1/8
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人間の罪は自分では直せない 礼拝を守り続けて100歳を迎えた 乙部キミさん

クリスチャン新聞 2018年01月07・14日号 24面より

 神奈川県小田原市にある小田原荻窪キリスト教会(山田千鶴子伝道師)は1962年に創立、半世紀を超える歴史を持つが、同教会のメンバー乙部キミさんは、大正6年生まれ。10月の誕生日で100歳を迎えた。みかん栽培が盛んな小田原の農家の嫁として家事を切り盛りする中、様々な困難に遭いながらも、50年にわたって自らの信仰を紡いできた。晩秋のある日曜日、教会を訪れると、10人にも満たない礼拝の中に、賛美歌を歌い、聖書のことばに耳を傾ける乙部さんの姿があった。【髙橋昌彦】

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 乙部さんが3歳違いのご主人と結婚したのは、数えで「19の時」。子どもも与えられたが、いつの頃からか体に不調を覚え、わけのわからない病に頭を悩ませていた。そんな折、教会に通っている兄のことを思い出す。その兄は、所帯も持ち商売もしていたものの、お酒がどうしてもやめられずに家族にも親戚にも迷惑をかけていた。稼いだお金は家には入れずにみな飲んでしまい、親がいくら説教しても、親戚が叩いても、飲酒はやまない。

 ある日、酔っ払って通りを暴れまわっていた時に、路傍伝道に出会う。「当時は駅前で、をぶら下げて聖書の話をしている人がいました。兄にも兄なりに考えるところがあったのかもしれません」。そこから教会に通うようになった兄は、信仰を持った途端、人が変わったようにお酒が止んでしまった。「そのことを思い出した私は、それなら自分も病気が治りたい、と思って教会に行くようになったんです」

わけもわからず教会に行きたかった

 初めて行った教会は、民家の座敷で、みんな膝に聖書を置いて礼拝していた。説教の中身はまるでわからなかった。それでも「何か助けられるような気がして」行き続けた。しかし、農家の嫁は忙しい。家には仏壇、神棚、庭には「お稲荷さん」もあった。毎朝お水ご飯を上げるのは嫁の仕事。お姑さんから言われることはなんでもやるのは当たり前。働きづめに仕事をしても何もくれない、遊びにも行けない。みかんの収穫期ともなれば、手伝いの人が10人、20人と来て、そこに親戚も加わる。「この忙しいのに何で教会に行く」。そう言われるのは当然である。「それでも、日曜日にはいつもより早く山に行ってみかんをもいで、やることやって、飛んで出てきました。何しろ教会に来たくてね、わけもわかんなかったんだけど」

DSC0181280歳を過ぎてから絵手紙を始めた

毎週説教に耳を傾け聖書に聴く

 そんな乙部さんだが、洗礼を受けたのは、随分と遅い。話が少し曖昧だったので、教会員の台帳を見せていただいた。そこには「受洗年月日昭和46年10月17日」とある。数えれば乙部さん54歳である。初めて教会に行ったのは、30歳の頃であったというのに。その台帳の項目に「キリスト教についての理解」というのがあり、その「家族」の欄には、おそらくは乙部さん自身の手書きで「理解ございます。」と書かれていた。

 54歳といえば、家の切り盛りを自分が中心になってやり、落ち着いてきたくらいの時期かもしれない。もしかしたら、この頃にお姑さんから家の差配を引き継いだのかもしれない。多少自由にもなり、ようやく洗礼を受けられるようになった、ということでもあったか。いろいろなことが推し量られる。洗礼を受けた時の話を聞いていた時に、乙部さんは「聖書は人間の罪を教えているけど、確かに自分の罪はなかなか自分では直せませんね」と言っていた。話を聞く間、何回も「なんにもわかんないんだけど」と言っていたのだが。

 この日の礼拝の説教題は「剣を取る者はみな剣で滅びます」。マタイの福音書26章52節から、聖書が語る平和についてのメッセージだった。説教者が語り終えると、出席者に発言を促す。この教会では、毎週説教を聞いて考えたことを礼拝の中で分かち合っているとのこと。一番はじに座っていた兄弟から始めて、順に一人ずつそれぞれの思いを語っていく。

 最前列に座っていた乙部さんにも順番が回ってきた。「100歳の老人が何を(何か)語るのだろうか?」と、不謹慎な興味を持って耳を傾けると、乙部さんは概略次のように述べた。「私には、人との関係で、どうしても上になりたい、勝ちたいと思う自分がいて、時としてそれは口や態度に出てしまい、相手を傷つけてしまうこともある。神様を信じる者は、神様の前にも、人の前にも謙虚でなければいけないのだろう」。この教会の礼拝の中で、こうやって乙部さんはその信仰を育み、養ってきたのだろうと思わされた。

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