《イベント》福音主義神学会西部部会秋期研究会議

  • 2019/12/2
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《イベント》福音主義神学会西部部会秋期研究会議

「伝道の神学」テーマに吉田氏、川原﨑氏 生活全体を福音により生かす

福音主義神学会西部部会2019年度秋期研究会議が11月18日、大阪府池田市の福音聖書神学校と日本メノナイトブレザレン教団石橋キリスト教会を会場に開催された。今回のテーマは「伝道の神学」。

午前中の基調講演の一人目は吉田隆氏(神戸改革派神学校校長、日本キリスト改革派甲子園教会牧師)。「伝道の神学~マルティン・ブツァー『牧会論』から」と題して、16世紀の宗教改革者マルティン・ブツァーの著作『牧会論(原題:「真の魂のいやしと正しい牧者の務め」)』を取り上げ、各国の宗教改革に多大な影響を与えたその著述から、伝道と牧会の関わりを考察した。吉田氏は『牧会論』の特徴として、①聖書的モデル、②キリストの命の通う「体」としての教会、③「万人祭司」による相互牧会、④牧師・役員によるチームワーク、⑤バランスの取れた健全な教会活動、の5点を示した上で、そこから学ぶ伝道論として、伝道と牧会を一元的にとらえることを提言。これはクリスチャンでない人も「まだ出会っていない羊(信徒)」ととらえる視点に立つもので、「キリストの命の福音による『魂のいやし』としての伝道」の必要性を訴えた。さらに、「多様な必要に対し、その人を全体として見て関わる」、「上から目線ではなく、寄り添うことによって真の必要を見分ける」、「牧師の責任と限界を見極め、信徒たちや諸教会と協働する」、「羊の霊的健康のためにバランスの取れた教会活動が重要であり、全生涯を視野に入れた福音的ケアが必要」などとした。まとめとして、「教会や信仰に導くだけでなく、その人を生涯福音によって生かし続ける」ことを強調して締めくくった。

川原﨑晃氏


二人目の基調講演は川原﨑晃氏(日本イエス・キリスト教団神戸中央教会主管牧師、関西聖書神学校舎監)による「宣教の愚かさを通して」。まず「使徒の働き」に見られる初代教会の宣教を、「神は人を用い、みことばによって、聖霊の働きの中で宣教をなし、教会を形成される」とし、「これは今も昔も変わらない聖書が教える原則」と位置づけた上で、Ⅰコリント1章21節より、「宣教のことばの愚かさ」に立つという理解の大切さを提示した。その上で、クリスチャンが圧倒的少数である日本社会において、救いの緊急性に鑑み、救いに必要な「最小限の真理」に限って宣べ伝える時に「即座の魂の刈り入れ」があるとするパジェット・ウィルクスの救霊論を紹介。さらに初代教会で福音を委託された信仰者たちが弱く少数であったことを踏まえ、「きよめ派」の立場から、「聖化を抜きに宣教はなく、宣教に至らない聖化もまたありえない」と述べた。

続いて、パウロの都市宣教型開拓伝道や戦前の日本の「前進運動」に着目して、開拓伝道の役割を強調。それらを踏まえ、「これからの宣教の課題」として、「敬虔主義の伝統が保有していた熱く燃える心と、柔軟で生き生きとしたエネルギッシュな伝道的性格を備えた信仰の回復が待ち望まれる」、「聖化がダイナミックに宣教と結びつき、主の臨在がその宣教を押し進めていくことに着眼点を置く必要がある」、「日本宣教にとって『家』の問題は大きいので、家族伝道、信仰継承の重要性を徹底させる」、「いかなる歴史の嵐にも動揺することのない教会を形成するために、信仰告白に根ざした信仰共同体として開かれた宣教的な教会を形成し、それが継承されていくことが必要」とまとめ、自然災害の中で地方にキリスト者が入ることの意義を示したうえで、「人格や生き方を通して証しされる真理」の重要性を訴えた。

午後は、聖書神学、組織・歴史神学、実践神学の三分野に分かれて研究発表が行われた後、再び全体でパネル・ディスカッション。袴田康裕氏(神戸改革派神学校教授)の進行のもと、吉田氏、川原﨑氏と聴衆の間で、「宗教改革のヨーロッパとは土壌が違う。むしろ初代教会に学ぶべきでは」、「個別の働きと共同体の働きのバランスが重要」、「個人として応答できない重度障害者などをどう考えるべきか。恵みの中にいることの意味をもっと重視しても良いのでは」、「地方伝道はそれぞれの教会だけでなく、教会間協力によって進むのではないか。共働の必要性を認識すべき」、「宗教を排斥する日本の土壌の中での宗教への本質的ニーズに目を向けるべき」、「宣教を担う者をどう教育するか。やはり人と人との人格的関わりが最重要ではないか」などといった活発な意見交換がなされた。

最後に、コーディネーターの一人である石崎伸二氏(神戸ルーテル神学校教務、西日本福音ルーテル教会加古川福音ルーテル教会牧師)がⅠコリント9章16節から「伝えないことの不幸」を示して、この日の研究会を総括。さらに西部部会理事長の坂井純人氏(神戸神学館教師、東須磨教会牧師)が、神学を学び、互いに切磋琢磨することの意義を述べて締めくくった。(レポート・山口暁生=いのちのことば社出版部編集者)
(クリスチャン新聞オンラインより)

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