《インタビュー》OBIお茶の水聖書学院関係者

宣教・神学・教育

《インタビュー》OBIお茶の水聖書学院関係者

信徒の学びに門戸を開き教職者研修の拠点として

 「聖書に基づき、知的、霊的、実践的に整えられた主の働き人を育成することをもって教会に仕える」を理念として、お茶の水聖書学院(OBI)は1991年に創設され、以来、約30年にわたって、キリスト教会の働きである「教育」の役割を担ってきた。一時期の分離を経て、2014年には学院が居を構えるお茶の水クリスチャンセンター(OCC)に再統合され、正式名称も「OCCお茶の水聖書学院」へと変更。教育の層にも幅にも、さらなる強化に取り組んでいる。OBIが取り組み、目指すビジョンを、藤原導夫(前学院長)、大井満(学院長)、内藤真奈(教会音楽科主任)、大嶋重徳(OCC理事会OBI担当理事)、各氏に聞いた。

ーOBIは創設以来、「信徒教育」を掲げてきました。

藤原 増田誉雄、本田弘慈、羽鳥明、世良田湧侍といった先生方が中心になって始められましたが、首都圏における信徒の教育を、各教会では出来ない部分を補って協力させてもらおうという趣旨です。その結果として、信徒の信仰が成長するだけでなく、奉仕者として育成されていくことが眼目と言えます。牧師の推薦状が必要なのは、教会から送り出してもらう、ということだからです。信徒の方にすれば、純粋に聖書をより深く学びたいという方もいますし、CS(教会学校)の教師として整えられたいという奉仕の現場で具体的に求められるニーズを持っている方もいます。それらをOBIが受け止めて、専門分野の教師に講義をお願いします。聖書科の正科生の場合は3年かけて卒業。聴講生は興味に応じて学びたいクラスを取りますが、その中から正科生になる人は多いです。

内藤 教会音楽科も総合コースは3年間です。声楽、オルガン、ピアノなどの実技レッスンの他に、教会音楽に関する講義や聖歌隊の指導法なども学びます。やはり皆さん、教会での奏楽奉仕の質の向上を目的に、それをきっかけとして入学される方が多いですが、実技のレッスンだけを取られる方もいます。2018年度から聖歌隊クラスを作り、合唱を通して、ともに賛美する喜びを体験してもらっています。全体として女性が多いですが、聖歌隊クラスには男性も参加されています。

ー実際に学んでいるのはどういう方ですか。

藤原 夜のクラスは、仕事をしている方、教職の方もいます。昼の受講は最初から主婦の方が多かったですが、ここ10年ほど前からは定年退職されたシニアの方がとても多くなってきています。会社生活を終えてこれからどうしようと考えている人たちが学ぶのに、OBIは広く門戸を開いていますから。

内藤 教会音楽科も間口は広いですね。通常神学校で教会音楽を学ぼうとすると、音大などでの専門の音楽教育を受けたことが入学条件となることが多いですが、OBIでは初歩の方でも、楽譜が読めなくても、本当に音楽を学んで教会に仕えたいと思っている方、その思いを大事にして、初歩の方から、すでに奉仕をしているがさらに技術を向上させたいなど、どのようなレベルの方でも受け入れています。

ー教育内容としてのOBIの魅力はどういうところでしょうか。

大井 それは何と言っても素晴らしい講師陣です。それぞれの先生の学識ももちろんですが、全体として超教派を体現していると言っていい。ウェスレアン、カルビニズム、バプテストと幅が広い。神学的な立場はもちろん違っていますが、それでも皆が同じ福音派の神学に立っているのは変わらない。その違いを大事にしながら、さらに生かし活用していくことを考えています。私は牧師ですが、教派立の神学校で教鞭をとっている、高い専門性を持った先生もいて、それが信徒の成長のために開かれているという意味では、OBIは非常にユニークだと思います。間口は広いですが、中身のレベルは相当に高いです。

ー卒業生はどれくらいですか。

藤原 創立以来、聖書科160名、教会音楽科52名、合計212名です。そのうち牧師、伝道師になった人が20数名います。卒業生の約1割です。最近の傾向として聴講生が多いのですが、卒業してからも学び続けている。

大嶋 教職者が現場に出た後の、継続教育の場になってますね。現場は多忙ですが、ここなら週一回一コマだけは勉強し続けることが可能です。ご自分が卒業した神学校は地理的に遠いかもしれませんが、ここなら都心ですし。

大井 健康を害した後で、リハビリ期間中に学んでいる牧師もいますし、牧会しながら学びたいという声も聞きます。OBIには、そんな間口の広さ、帰って来やすさ、があります。実際に卒業生の1割は教職者になっていますから、最初は召命があって学び始めたわけではないが、学ぶうちに献身に召されていく人たちもいるのでしょう。

大嶋 ここで神学する喜びを経験した人が、やがて召命を受けて教派立の神学校に行くような、言わば神学校の前の神学校であることがOBIの持ち味であり、強みだと思います。

ー教職者の継続教育のニーズは高いのでしょうか

大嶋 牧師の燃え尽き症候群が問題になる中で、牧師再研修のコースができたらどうかという話はしています。世の中が複雑になって今まで無かったような問題に教会は直面していますから、そういう時に牧師たちが集って一緒に考えたり、疲れ切った牧師たちが息を吹き返したりできる場所として、神学的な拠点みたいなものになったらいいなと考えています。

 実際に夜の授業はそういう目的でやっています。昨年行った「ユースミニストリー特講」には、20人近く集まりました。学生、CS教師、牧師も4人いました。みんな何とかして日本の教会学校の現状を打破したいと考えている人たちです。そういう意識を持った人たちがそこで学んで、教会に戻って、さらに活躍していくのが狙いです。

 「宣教」と「教育」を二つの柱として掲げるOCCの中で、信徒教育を掲げて始まったOBIですが、シニアの方が教会で活躍するための準備となり、現場の教職者がさらに学び、意識を持った若い次世代が今まで以上に用いられていく、「お茶の水」はそういう場所になっていくと思います。

OBIで学んで良かった−卒業生の声
 入学の動機は聖書の体系的な学びへの興味と、それを教会奉仕に役立てたい思いからです。定年退職後で時間的な余裕もありました。OBIの先生の講演を聞いて聖書の背景を学ぶ楽しさに触れ、いつかOBIでという気持ちがありました。駅からすぐという立地も理想的でした。歴史に関心があるので教会史の授業は楽しみでした。今教会では礼拝後の15分、「ハイデルベルク」の学びの奉仕をしており、無牧教会での礼拝説教もさせていただいています。説教は「語り手」と「聞き手」の共同作業、「語る」とは神に「聴く」という行為の結果、と授業で学んだこと、また実際に教室で説教をして他の受講生から受けた批評は、現在の奉仕に大変役立つ体験となり、感謝しています。2019年度聖書科(正科)卒業 慶徳正好(JECA・横浜キリスト福音教会)

 奏楽の奉仕で悩んでいた私は、「信頼できる方に相談したい、もっと学びたい」という思いで入学しました。OBIを選んだ理由は、職場が近く仕事を終えて夜の授業で学べること、信徒として「教会音楽科」で学べることです。礼拝にふさわしい曲について学ぶことで、知識もさることながら、多くの信仰者が時を超えて共に神様を賛美している、ということを深く感じました。共に学ぶ学院生からは刺激を受け、励まし合う恵みがありました。教会での奏楽と聖歌隊の奉仕では、学んだことを思い出し、ノートを見返して参考にしています。3年間の総合コースを終えた今も、継続してOBIで学び続けています。講師の先生には今でも、本当に親身に相談に乗っていただいています。2011年度教会音楽科(総合コース)卒業 石井江理子(単立・久留米キリスト教会)

(クリスチャン新聞オンラインより)
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