《レビュー》映画「マイ・エンジェル」

  • 2019/8/10
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娘エリ―を“エンジェル・フェイス”と呼んで可愛がるマルレーヌだが、自分の気分の赴くくままエリーをほったらかしにして行動してしまう… (C)PHOTO JULIE TRANNOY

《レビュー》映画「マイ・エンジェル」

ネグレストされた少女が選んだ自立か母子再生かへの行動

娘を愛しているが愛し方を知らないパーティガールの母親と、そんな母親が大好きだが愛されていることに自信を持てない娘。ネグレスト、児童虐待の悲しいニュースが絶えない日本にも母子の行き違い、愛情を実感できる関係再生へのメッセージ伝わってくる。

あらすじ

地中海の海岸線に面した南フランス有数のリゾート地コート・ダジュール。シングルマザーのマルレーヌ(マリオン・コティヤール)の職業はパーティガール。8歳の娘エリ―(エイリーヌ・アクソイ=エテックス)を“エンジェル・フェイス”と呼んで溺愛するが、お酒に酔うと我を忘れて享楽に浸る悪癖がある。不器用だが誠実でハンサムな男ジャン(ステファーン・リドー)とようやく結婚式にゴールインできたが、結婚パーティで深酒に酔い、見知らぬイケメンをキッチンに誘い込んだところを、エリーを抱いて探していたジャンに見られ破局。エリーは結婚できた喜びを幸せいっぱいに表現していた母親マルレーヌが、無様に落ち込み壊れていく姿をただ黙って見つめるだけだった。

ジャンに見捨てられたマルレーヌの暮らし向きはたちまち困窮した。スーパーマーケットに買い物に行ってもカードはチャージ金額ゼロで使用不能。ヴァカンスシーズンは終わり、パーティの仕事は見つからない。アパートの冷蔵庫に食糧はなく酒のボトルばかり。土曜の夜、気晴らしにエリーを連れてナイトクラブに繰り出したマドレーヌは、そこで出会った男と意気投合しエリーをタクシーで帰宅させたまま、どこかへ姿をくらましてしまう。

アパートに置き去りにされたエリーは、一人で学校に通う。11月の万聖節(諸聖人の日:ラテン語 Sollemnitas Omnium Sanctorum)に向けて演劇の人魚役にエリーが担任教師に指名された。だが、その役を狙っていたクラスの女子から逆恨みされ、クラスの子どもたちからもいじめられるようになり、学校を無断欠席するようになったエリー。

エリーがマルレーヌの娘だと知っている街の不良たちからもからかわれているところを通りがかったの青年フリオ(アルバン・ルノワール)に助けられる。アパートの向かいの部屋に住むアルベルトの息子だ。何かの事情でフリオが訪ねてきてもアルベルトが応答しないで拒絶しているの見ていたエリー。エリーはフリオに「パパは知らない。ママはいなくなった」と自分の身の上を打ち明ける。その日からフリオにまつわりつくエリー。一人ぽっちのエリーにとってフリオは、自分の心の傷や苛立ちをぶつけられるたった一人の人間だった。

ある日、浜辺に溺死体が打ち上げられた。エリーは、マルレーヌに遺体を見たかのように、クラスでたった一人の友達アリスに「ママは死んだ」と告げた。晩秋になりマルレーヌがアパートに帰ってきた。だが、エリーはマルレーヌが部屋を出るまでクロークに隠れてやり過ごす。「エンジェル・フェイス…」と叫びながらマルレーヌはエリーを捜しまわる…。

エリーはフリオとの出会いで母マルレーヌとの関係に思いを巡らしていく (C)PHOTO JULIE TRANNOY

見どころ・エピソード

脚本に心動かされバネッサ・フィロの初監督作品に出演したマリオン・コティヤールが、ただだらしない母親像ではなく、物語では語られていないマルレーヌの成育史や現状からの脱出にもがき思い悩む演技に惹かれる。それを受けて、実年齢8歳でエリー役を務めたエイリーヌ・アクソイ=エテックスの自立か母親との愛情関係の再生に期待するかに揺れ動く心情がなんとも素晴らしい演技。エリーが素直になれるフリオとの関係も、人は友無き者の友も存在を希求している情景が印象深く伝わってくる。 【遠山清一】

監督:バネッサ・フィロ 2018年/フランス/フランス語/108分/映倫:PG12/原題:Gneule d’Agne、英題:Angel Face 配給:ブロードメディア・スタジオ 2019年8月10日(土)より有楽町スバル座ほか全国公開。
公式サイト http://my-angel-movie.com
Facebook https://www.facebook.com/myangel.movie/

*AWARD* 2018年:第71回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」正式出品作品。
(クリスチャン新聞オンラインより)

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