《新型コロナ関連》なぜ台湾では封じ込めがうまくいったのか

社会・国際

《新型コロナ関連》なぜ台湾では封じ込めがうまくいったのか

レポート・高井ヘラ―由紀 台湾南神神学院助理教授 日本基督教団信徒派遣宣教師

 新型コロナウイルスが世界中を席巻する中、台湾は例外的に感染者拡大を食い止めることができている。4月2日現在、累計感染者は329名、うち死者5名にとどまっている 。しかも感染者の大多数は海外からの帰国者で、新規国内感染はこのところ0〜2名の間で推移、感染源もほぼ特定できている。今年1月11日の総統選挙で独立志向の蔡英文が再選を果たし、中国が蔡政権に経済的圧力をかけるために観光客を台湾に送り込んでいなかったことは、確かに台湾にとって幸いであった。しかし、これほどまでに制御できているのは、ひとえに政府がごく早期から先手を打って徹底的に対策を講じてきたことによる。海外からの入国者・帰国者に対する水際対策から始まり、国民への徹底した情報開示と丁寧かつ親切な説明、LINEなどのSNSの駆使、危機意識や予防意識を高めるための教育的努力、フェイクニュース阻止、教育機関への徹底した指導、マスクや消毒用アルコールの管理、など列挙すればきりがない。
 これは、WHOへの加盟もオブザーバー参加も許されていない台湾が、2003年SARSで苦い教訓を学んで以来、コツコツと積み上げてきた防疫のための努力の結果である。国民も政府の指導を信頼し、個人も組織も高い意識をもって防疫に取り組んできた。
 台湾政府が早期から諸宗教団体に対して感染防止のための協力を要請してきたことに対して、独立志向で台湾最大のプロテスタント教会である台湾基督長老教会(以下、長老教会)は、蔡政権を支持していることもあり、政府の指導に対して全面的に協力する姿勢で臨んでいる。1月30日の時点ですでに、総会が各教会に対してマスク着用、検温、手の消毒、握手の回避、食事時の衛生上の注意などを含む数項目の指導を通達、長老教会以外の教会群もおおむね同様の対応をしてきた。
 しかし、政府はまったく気をぬかないどころか、むしろ指導を強化している。2月26日大規模な集会やイベントの中止あるいは延期を諸宗教団体に要請、3月24日にはさらに踏み込んで、屋外500名以上、屋内100名以上の集会の自粛を「建議」した。これと前後して、台北で最大規模の長老教会である雙連(そうれん)教会は、3月15日より5月第1週までの予定で、インターネットによるライブ礼拝に全面的に切り替え、3月中に台北靈糧堂(ペンテコステ派)、台北真理堂(ルーテル系ペンテコステ派)、台北信友堂(長老派)などの大規模教会もこれに続いた。
 現状では、ほとんどの教会が通常の礼拝を続行している。しかし出席者が数割減っていることもあって、多くの教会ですでに礼拝のライブ配信が行なわれており、いざとなればすぐに全面ライブ礼拝に切り替える準備ができている。セルグループなどの交わりには、ズーム(会議ソフト)やラインが使用されるようだ。鍵は、インターネットでどのように臨場感を持って礼拝や交わりに参加するかであろう。台中市の旌旗教会(バナーチャーチ)は、信徒が通常に近い礼拝を捧げることができるよう、週報をあらかじめダウンロードし、時間を守って心を整え、ものを食べたりせず、献金を捧げ、新来者を歓迎するよう、ネット上で指導している。
 このように、表面上は新型コロナウイルスによる感染拡大を制御できているように見える台湾でも、政府による不断の努力は続いている。教会の試行錯誤も今後まだまだ続くものと思われる。

*台湾(中華民国)は現在「国家」として認められていませんが、本レポートでは便宜上、「国」「国民」などの用語を使用しました。
(クリスチャン新聞オンラインより)
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