《書評》与えられた道を歩んで

  • 2019/8/30
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与えられた道を歩んで

白浜バプテスト基督教会牧師 藤藪庸一

現場報告“子ども食堂”これまで、これから
与野 輝 著
茅野志穂 著
四六判 900円+税
いのちのことば社

私は、与野さんのことを個人的に知っているわけではない。しかし、「はじめに」を読んだとき、自分と重なることが二つあった。一つは物事に対する動き方だ。与野さんは、「どれ一つとして、自分たちで計画したものはありません」(四頁)と告白する。ちょっと失礼な表現になるが、与野さんは、自分発の自分のやりたいことをやって、素晴らしい活動をしているスーパーマンではない。自分発ではないだけに、神が導いてくださっているという確信が強い。神が始められたと思っているから、待ったをかけられるまでやめられない。目の前に広がる問題に真摯に向き合うしかない。自分一人の力でできたとは到底思わない。多くの人の助けがあってできた。それも、利用者さんの力もあってできたと思っているから、感謝ばかりが出てくる。これが、与野さんに、使命感が与えられ、仲間が与えられ、苦労があっても、感謝と喜びが絶えない活動に繋がった。

この歩みに、私たちの白浜での歩み(※)は大きく重なった。神様の物事の進め方は、こうなのか! あらためて、これでいいんだなと思わされ、励まされた。

「あいさん子ども食堂」は三年半の活動を通し、子ども食堂だけでなく、子育てカウンセリング、学習支援・居場所提供、食材配達、親子料理教室、育児支援など、多岐にわたる活動に成長した。そしてきっと、今後も目の前の人の必要に応えながら、新たな活動を加えていくのではないか。与野さんの苦労も考えず、期待してしまった。

もう一つは、刺激を与えてくれる伴侶の存在だ。与野さんの活動は、「あんた! 毎日家の中で遊んでないで、少しは外で他人様のために時間を使ってらっしゃい」(三頁)との奥様の言葉からすべては始まった。本には書かれていないが、迷う時、ズレる時、へこたれる時、きっと事あるごとに、与野さんに刺激を与え続けた奥様の言葉があったと思うのだ。夫に妥協しない妻の存在、これほど強力な助け手はない。この本を読んで、私と同じように励まされる方は少なくないだろう。志を与えられ、歩みを始める方もいるだろう。きっとこの道だ。この道を歩もう。

※自殺防止活動と救済自立支援を行う「NPO白浜レスキューネットワーク」の働き。詳しくは、『あなたを諦めない―自殺救済の現場から』(藤藪庸一著、いのちのことば社)を参照。(月刊「いのちのことば」2019年8月号巻頭言掲載)

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