《特集》首都圏のキリスト者防災ネットに聞く

  • 2019/10/4
  • 《特集》首都圏のキリスト者防災ネットに聞く はコメントを受け付けていません。

首都圏のキリスト者防災ネットに聞く

キリスト教災害支援団体クラッシュジャパン

2011年の東日本大震災より本格的に始動している、東京に本部を置くキリスト者の被災者支援団体。クラッシュ(CRASH)は、Christian(クリスチャン)Relief(救援)Assistance (協力)Support(支援)Hope(希望)の頭文字から名づけられた。理事を務める山尾研一さん、東京災害対策担当(「百万人の福音」2019年3月号掲載当時)の栗原一芳さんに話を聞いた。

東日本大震災時、クラッシュジャパン(以下CJ)はどのような働きをしましたか?

栗原:被災している教会、牧師に重荷をかけないよう、少し離れたところに五つのベースを設置し、常駐スタッフがボランティアを被災地へ送迎しました。ボランティアは素人。被災地の悲惨な状況を見て傷つき動揺する人も多く、休むときは被災地から出て生活するようにしました。毎朝ディボーションをもち、霊的に整えられてから被災地に送り、3時頃まで作業。戻って1日のまとめを行いました。CJを通して国内外合わせて3000人近くのボランティアが被災地へ。ミッショナリー関係で世界とつながっていたので、84か国から支援、物資、助け手が送られてきました。
栗原:物資は、東京・東久留米の倉庫に置き、仕分け作業をして被災地へ送るプロセスを踏みました。必要な衣類は季節の変化で変わります。海外から送られてくるものはXXL(特大)など、東北のおばあちゃんには着られないものも多かったし、男性用女性用が混ざって届きました。仕分けには人材も時間も必要。善意で送ってくださるのですが、受け取る側は意外に大変でした。

東日本大震災の経験は、その後の災害支援に生かされましたか?

山尾:熊本でも広島でも、教会は協力しなければいけないという意識が生まれ、早くから教会のネットワークが立ち上がっていました。被災直後、熊本県の超教派の牧師会の先生方が、電話連絡し合い、これが後々の九州キリスト災害支援センター(以下九キ災)になりました。ふだんから教会どうしの交わりがあったからこそ有事に生かされた働きでした。九キ災本部は、教会自体が被災している熊本にではなく福岡に設置され、CJは熊本ベースの働きを手伝う形で加わりました。
 広島では5年前の災害時、痛い経験、反省があったので、6名の牧師が自主的に防災士の資格を取得し、昨年の呉の土砂災害支援に生かされて非常なスピードで対処できました。ふだんから地域の中で意識して備えをしていた結果でした。
栗原:東京でも、明日起きるかもしれない大地震が予測されています。1つは南海トラフ地震です。これは南海地震、東南海地震、東海地震が連動する巨大地震で、房総半島から鹿児島まで太平洋沿岸は壊滅状態に陥ります。もう1つは、東京の真下を震源とする首都直下地震。東京23区で震度6強以上となり、32万人以上が死亡、火災で41万棟が焼失、17万棟が倒壊、東京都だけで帰宅難民が517万人出ると予測されています。
栗原:巨大災害が起きると交通はすべて止まります。すぐに公共の助けは来ず、水道・電気・ガス・通信などライフラインもすべてストップ。家もなくなる中、3日から1週間は自力で生き延びなければなりません。自分の教会や所属する教団に災害担当がいても、現場に来ることはできないでしょう。歩いて行ける距離にある「キリストのからだ」である教会が、助け合わなければなりません。
栗原:まずは、地域ごとに教会防災ネットワークを作ることです。そのためにまず、教団教派は違っても同じ地域にある教会どうし、とにかく顔を合わせ、定期的に交流をもち、知り合うことが大事です。
 2番めに、教会が地元の商店街、町内会、消防署、社会福祉協議会など地元コミュニティーや行政とつながることが大切。防災は地域を知ること。互いのつながりが備えになりますから。
 3番めは、災害が起こった時の初動体制を作ること。いざという時の避難の呼びかけや誘導、救出、救助、初期消火、避難所の運営などを前もって準備することが必要でしょう。

〈写真上〉右:理事の山尾研一(町田聖書キリスト教会牧師)さん、左:東京災害対策担当(掲載当時)の栗原一芳さん 〈記事冒頭の写真〉防災の重要性を呼びかける「防災フェスタ」のようす

首都圏で教会防災ネットワークは始まっているのでしょうか?

栗原:4年前に、新座、東久留米、清瀬にある教会に呼びかけ、頭文字をとり通称NHKネットを立ち上げました。教会だけでなくクリスチャン・アカデミー・イン・ジャパンや自由学園などキリスト教ベースの学校や高齢者ケアの団体にも参加していただき、地元の消防署、社会福祉協議会、町内会、地域のFM局、市の防災課とも連携をとり、定期的に講演会や防災フェスタを開いています。
 また新宿区の大久保通りは教会が密集している地域。ここにも呼びかけ、7つの教会が2か月に1回定期的に顔を合わせ、防災フェスタを毎年開くようになりました。避難者やボランティアが泊まれるスペース、発電機や炊き出し道具などの機材、各国語の通訳、医師、看護師、その他のコネクションをもつ人材などのリストを作り、有事にはリソースを共有できる体制を組んでいます。この大久保通り教会ネットも、地域や行政と協力。新宿区の社会福祉協議会、危機管理課などがバックアップしているので、防災フェスタなどの告知は町内会の掲示板に貼って住民に知らせています。
山尾:町田でも防災セミナーを開き、栗原先生に防災の話を伺い、参加した牧師たちが中心になって町田防災ネットワークができました。忙しい教会にまた余計なことを課せられると勘違いする先生方もおられるが、それは誤解。教会がふだんから行っている活動、例えばバザーや子ども食堂、カフェなど地域への働きを熱心にやればやるほど有事に役立ちます。ふだんから教会が地元とつながり、教会どうし接点があるかどうかが、被災時の初動に関わってきます。大きなチャレンジだが、続けて積み重ねていくこと。宣教と社会貢献の両輪が大切です。

最後に、防災・減災の使命を支えるのは何でしょうか?

栗原:災害は神のさばきというのが歴史的にポピュラーな考え方でした。そうであれば、防災も減災も神のみこころに反することなので、してはならない行為になってしまいます。ですが、使徒の働き11章に、アガボという預言者が世界中に大飢饉が起きると預言したことが記されています。飢饉の原因は異常気象、それを預言して知らせるのは、ある意味、防災。その時、諸教会は互いに救援の物を送り、助け合ったと記されています。防災と支援は初代教会のプラクティスとしてすでに行われていたのです。
 日本は9割9分がクリスチャンでない人々。福音を聞く機会なく亡くなられることがあってはいけません。助かれば福音を聞くチャンスがあります。そのため、福音の伝え手であるクリスチャンも、だから生き延びてもらわなければ。そこに教会の防災・減災のモチベーションがあるのだと思います。

「百万人の福音」2019年3月号より】

百万人の福音をもっと読む

関連記事

コメントは利用できません。

ページ上部へ戻る